市指定重要文化財(考古資料)

ページ番号1006898  更新日 令和6年6月19日

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表裏型顔面把手

市の緑ケ丘地域、かにが沢公園の東側台地上における蟹ケ澤遺跡(周知の埋蔵文化財包蔵地内)で、令和4年10月7日に行われた水道管布設替工事の際に、考古資料の「表裏型顔面把手」が発見されました。

この考古資料は、縄文時代中期中葉の勝坂式期の縄文土器(土製素焼)です。市内で「顔」を表現した考古資料として、初めて確認されました。

また、考古学では「顔面把手付土器」と呼ばれる土器本体の一部破片(「顔面把手」の部分)です。南関東・甲信地方を中心に出土例があるため、原形は深鉢形の縄文土器であったものと想定されます。深鉢形縄文土器は主に調理道具ですが、顔面把手は日常生活での使用には不向きな装飾であることから、儀式等の特別な場で煮沸道具として使用された可能性があります。

顔面把手の表裏両面に顔面がついているものは大変珍しく、この類型は座間市の他に長野県下伊那郡高森町と東京都日野市の2例が確認されているのみで、全国的に見ても希少です。この造形は、外面観察やX線透過写真を撮影して調査したところ、顔面部を球状とし、その周囲に三角板状の粘土板を接合する、複雑な造形であることが分かりました。球状の顔面部は内部が空洞(中空)となっており、両側から目・口の穿孔が確認できます。このことから、角度によって光が目に差し込むような鑑賞が楽しめます。

このように、「表裏型顔面把手」は、蟹ケ澤遺跡の精神文化を顕著に示す遺物であり、本市にとって傑出した遺物であることから、特に保護の価値があると認められました。こうして、令和6年4月24日に文化財保護委員会から答申がなされ、5月15日の教育委員会で審議を経て、座間市指定重要文化財(考古資料)に指定が決定されました。今回の指定は、「北條藤菊丸棟札」(工芸品)に次ぐ通算38件目、考古資料としては初めてのことです。

現在は、市教育委員会が所有・保管しています。

写真:表裏型顔面把手(ウラ側)
表裏型顔面把手(ウラ側)
土器の内側を向く顔面です。
写真:表裏型顔面把手(オモテ側)
表裏型顔面把手(オモテ側)
土器の外側を向く顔面です。
  • 正式名称 表裏型顔面把手(ひょうりがたがんめんとって)
  • 指定年月日 令和6年5月15日
  • 数量 1点
  • 造形 表裏両面に半球状の顔、中空、表面磨き上げ、三角状を呈する。
  • 時代 縄文時代中期 (約5,500~4,500年前)
  • 大きさ 最大高:132.8ミリメートル、最大幅:144.1ミリメートル、球状の顔面の直径:約70ミリメートル
  • 重量 428.0グラム

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このページに関するお問い合わせ

生涯学習課 文化財担当
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