平成17年度行政評価
外部評価委員総評
評価の時期:平成15年4月


★辻琢也(つじたくや)委員
★筆谷勇(ふでやいさむ)委員
★大川紀久(おおかわのりひさ)委員


★辻 琢也(つじ たくや)委員
 

  一橋大学大学院大学教授・博士(学術)
 
略歴: 1985年東京大学教養学部教養学科第三・相関社会科学分科卒、90年同大学院総合文化研究科相関社会科学専攻博士課程単位取得退学、96−97年米国ジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院ライシャワーセンター客員研究員を兼任、03年 政策研究大学院大学教授、05年一橋大学大学院教授(現在に至る)。
 
1   少なからぬ自治体が事務事業評価を中心とした行政評価を試行・実施してきたが、中にはすでに形骸化し始めているものも散見され、有効に活用されているとは言い難い状況にある。これに対して座間市の行政評価は、事務事業評価を土台に施策評価を行い、さらにすべての施策を対象に外部評価を加えており、日本でもっとも進んだ行政評価の一つとなっている。外部評価を含めて網羅的に施策を評価している例はほかにはなく、初めての試みとして非常に高く評価できる。
     
2   座間市の行政評価が優れている点は、計画事業と予算事業の連動性を、職員お手製の廉価なシステムの中で確保し、行政評価を予算編成に活(い)かしやすい体制を構築していることである。安易に外部コンサルタントに依存し、使い勝手の悪い既製品の行政評価関連システムを購入することなく、職員が自らシステムを開発・運用していることは、今後もより効果的・効率的に行政評価を実施していく上で、極めて有効である。計画事業と予算事業の対応関係すらはっきりしない中で、自己目的化した行政評価が行われてしまっている自治体が散見される。座間市においては、現在の長所をさらに伸ばしていくことが重要である。
     
3   行政評価をより効果的・効率的に実施するためには、現在の施策体系と組織編成を一致させることが必要である。総合計画が提示している施策体系と、部・課・係の編成にはおおよその相関関係はあるが、一つの施策を複数部署が中途半端な役割分担で共通所管したり、逆に一つの課がいくつもの施策を断片的に所管したりしており、責任の所在を明確にして施策目標=組織目標に従って効率的・効果的に事務事業を実施する体制とは必ずしもなっていない。今後は、施策・事務事業のあり方を強く意識した部・課・係の編成が必要であり、施策・事務事業評価が組織評価に連動し、ひいては、管理職・監督署の業績考課の基礎資料となることが望ましい。
     
4   内部評価に関しては、概して「評価」に力点を置くことよりも、分かりやすく、かつ、的確に事務事業・施策に関する事実を提起することを改めて重視すべきである。記載者によって、具体的かつ明確に現況と課題を論じている評価表と、一般的な目的と手法を専ら抽象的に論じている評価表とに分かれており、後者に関しては、とりわけ当該分野に精通していない一般市民や職員にとっては、当該年度の具体的な課題・目標・方法を理解しがたいものとなっている。
     
5   内部評価は、客観的な状況把握と具体的な課題提起を骨子として作成すべきである。評価が意図する目標指標の設定は、具体的かつ明確な情報提示と赤裸々な問題提起をもってはじめて本来の役割を果たすものと考えられる。市民が読んでも分からない、読もうとする気のしない評価表では作成しても意味がなく、おそらく職員が日常業務に役立てることもできない。端的に現況と課題を把握しているか否かに、当該職員の政策能力が象徴的に示されているといっても過言ではない。
     
6   各指標については、成果達成型のアウトカムに相当するものと、行政の活動量を明確に示しやすいアウトプットとインプットを合わせて示すことが重要である。できる限りアウトカム指標を提示することは重要であるが、逆にアウトカム指標だけを提示しても、その妥当性をにわかに判断することができない。インプットやアウトプットの的確かつ具体的な指標があってはじめて、真に必要なアウトカム指標を提示することができる。また、当該施策を取り巻く状況を時系列的に示すことのできる指標を掲げることも重要である。市民は施策・事務事業を目標値までのばすことばかりではなく、事務事業の効率化を図り、ムダな事務事業を廃止・中止することも強く求めている。残念ながら、今回提出された各指標に関しては、概して行政の効率化やその必要性を検証できるものは少ない。
     
7   今後は、今回新たに提示された施策評価に合わせて、事務事業評価のあり方を見直すと同時に、新たに政策評価を企図することが重要である。事務事業評価に関しては、将来的にはすべての事務事業を評価することを視野に、対象事業を拡大することや記述内容の具体化・充実化を図ることに加えて、事務事業評価表の簡素化や評価基準の一層の明確化・統一化を図ることが必要であると考えられる。また、市長公約相当の重要政策の課題に対しては、時系列情報を体系的に示しながら、アウトカム指標に基づく政策評価を実施することが重要である。

 

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★筆谷 勇(ふでや いさむ)委員
 

  公認会計士、中央大学大学院教授、東京都監査委員
 
略歴: 東京大学農学部卒、新日本監査法人勤務、東京都包括外部監査人。
 
T   全体的感想
 最初の試みとしては、全体的に体系化され、要点もよく整理されていて分かりやすい内容になっていて、よくできていると思います。
 ただ、第6編の「計画を推進するために」という区分は、他の区分とは異なった複合的な内容となっており、次回はこの細区分化について再検討が望まれるものと思われます。
     
U   財政運営について
    1 「時価による発生主義」に触れていますが、時価によるフルコストに基づいて他の団体との比較(クロスセクション分析)、時系列比較などを可能にする重要な基礎資料となる点を詳細に説明すべきであります。
 一般に、時価による発生主義によって、
@ 上記のようなコスト比較(時系列比較、同業他社などとのクロスセクション分析、など)。
A 資産水準および負債水準の適切なマネージメント(ALM分析)、将来の事業計画の樹立、さらに、将来の債務償還能力の判定など、に資する。
B 道路などのインフラ資産の将来の取替更新の予想に関する情報の提供。
C 長期的観点にたっての均衡予算の編成に資する。
D 公会計に最も重要な「世代間の負担の衡平」の判断に資する。
などのメリットについて十分説明すべきだと思います。

 

    2 直接費と人件費の計算内容について詳細に説明をする必要があります。特に、間接費と人件費の配賦基準については、全然説明がありませんが、この二要素はコスト計算において極めて重要な役割を果たしますので、主な費目ごとに配賦基準および配賦計算過程を詳細に説明する必要があります。
     
V   行政評価全体の役割の説明の必要性
    1   まず冒頭に、行政評価の全体的な説明を、インプット、アウトプット、アウトカムに分けて概要を説明する必要があります。
         
    2   過年度の費用については、予算と決算とを必ず対比して示す必要があります。
         
    3   事業別またはプログラム別予算の総合計と予算配分の合計との関係(本来は一致するはず)を何らかの形で示せたら「事業別またはプログラム別の予算数値の信頼性」が高まるといえます。マトリックス予算のメリットの一つといわれています。
         
    4   「直接費」を単に「事業費」等に名称変更するのみではなくて、直接費または事業費の、主な内容と配賦基準を、各施策毎に示すことを研究してみましょう。

 

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★故大川紀久(おおかわ のりひさ)委員
 

  経営コンサルタント、不動産鑑定士、中小企業診断士
 
略歴: 明治大学卒、草軽交通社長。
 
<感想>
 全国の自治体の中で早期に行政評価に取り組み、着実な進捗(しんちょく)に敬意を表します。首長、議会、自治体職員、住民、企業の努力が調和してこそ初めて“住み良いまち”が実現できます。時代の変革に自治体の職員も意識の改革が求められますので、より積極的に本評価を日常の意識の中に取り入れ、最終的に予算編成などにリンクさせることが大切と思われます。

<企業経営感覚で>
 地方自治体の法律上の枠組みや地方交付税制度等はややもすると運営面や組織・発想等が硬直的に成りやすい傾向はありますが、行政も変革が求められており、公共団体も現実には民間の企業も同じ経済活動・投資活動を行なっているのであるから、社会状況の変化に的確に対応してくことが必要です。
@ 変革へのスピーディな対応
A 適正と考える変更や新たな事業への展開
B 資金投資を効率的に優先度の高いほうから進める
C 改廃もあり得ることをあらかじめ想定し、取り組む意識を持つことも必要

<積極的なPR>
 最近のすさまじいITの進化によって、その多くの情報を住民は知り得て多くを理解していると思います。従って行政のできること、できないことの理解度は(一部不満はあるものの)深まっていると感じています。今後はITなどの活用を図り、行政活動の積極的なPRが必要です。

<組織面での考察>
 政策立案や事業の検証、財政収支の改善策は、行政の根幹にかかわる事項であり、財務部門と連携した政策部門の強化は大切です。所管分掌項目の検討を図り、いわゆるスタッフ部門の位置付けを考察する時期に来ていると思われます。また、新たな事業展開においては事業の初期的段階はプロジェクトチーム編成などでの検討する体制での対応も考えられます。

<人材の有効活用>
 自治体も民間の企業も適正な経営資源(ひと、もの、かね)の配分の面で同一の経営原則の上で機能していると考えられます。従って、各事業を進める過程で事業の完成度に応じて、余剰人員を他への配置換えにより人件費の一部削減と効率の向上が図れるような人事制度の検討も必要と考えられます。例えば、職種変更として技術職から事務職や事務系幹部へと、ただし、その反対は技術的知識の面で難しいと思われます。

<既に始まっている改革>
 現状の経済が低迷している中、市の財政状況に対応するため、第三次行政改革大綱の着実な実行が行政改革を計画的かつ総合的に進められています。平成13年度に実施した改善項目は108件、内経費の削減効果額は2億円と報告され、市の積極的な行政改革への取組みは高く評価されるものであります。今回進めています行政評価とあいまって、今後の政策及び事業策定の諸項目に反映されるよう切望するものです。


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